起きたとき、ヒヤッとした空気を感じない。薄着でも寒くない。はだしでフローリングを歩いても冷たい感じしない。
春がついにやってきたんだ。
大学も2年目の春休みに入り、俺はひたすらにだらだらしていた。
2か月弱も休みがあるなんて。なーんもすることねえわ。
なんかバイト始めるっかなーってバイト情報誌をめくってはみるものの、あーめんどくせえ。
まずな、履歴書書くのがめんどくさいだろ?それに人と会うのにきちんと身だしなみを整えてとかやってられないぜ。
とん、とん、とん、とんと誰かが階段を昇ってくる音が聞こえる。
誰だ?弟のタカシなら彼女と遊ぶとか言ってでてったし。
バーン!と扉を開ける音
「ショウイチ!また部屋でごろごろして!タカシみたいに外に出たらどうなんだい」
か、母ちゃん!?あれ今日はパートの予定じゃなかったっけか。
「母ちゃんこそ今日はパートの予定じゃないのかよ」
「林さんのシフト代わって別の日に振替になったから今日は休みなんだよ。さあついでに掃除機かけるからどいたどいた。まーこんなに散らかして。」
母ちゃんが掃除機のノズルで俺をどかせようとする。
避けていたその時、母ちゃんから衝撃的な一言が発せられた
「あんた、ちょっと太ったんじゃない」
えっ、母ちゃん今なんて言った。
掃除機のノズルが俺の腹にあたってぽよ~んと跳ね返されている。あれ、俺こんなにお腹出てたっけか。
「いつまでも家でごろごろしてるからよ。ちょっと走ってきたら。あ、そういえば隣のエリちゃんから小学校の同窓会のお知らせもらったんだけど、渡しとくわよ。」
渡されて日付を見ると、あれ、今月末じゃねえか。やべえ。
みんな~久しぶり~(ぽよ~んぽよ~んどすーんどすーん)
わ、笑えねええええ。
これはまじでこのお肉をどうにかしなければ。でも走るのって無音だとちょっとヤなんだよな。ノれないし。
スマホ入れてイヤホン穴が合って、通気性があって何より俺の腹に巻けるやつ。
と思ったらタカシからもらってたのがあったじゃん。あれどこやったんだっけ。あ、あった。これこれ。
装着してみるか。う。うおおお。何とかぎりぎりしまった。腹の上に乗っかってるような感じだけど。
よしこれで河川敷を走ってくるか。
河川敷を走ってきたけどやっぱり昔のようにはうまく走れないな。
なんか気分の上がるウェアないかな。あ、ウエストバッグ売ってるサイトにいいのあるじゃん。
これ着たらかっこよさそうだよな。速乾フリーストレッチウエア。
何とかして同窓会までに痩せなければ。初恋のあの子も来るかもしれないし。とにかく今日からランニングと筋トレやるぞ。
スポーツグッズ&ウエアアドバイザーS様(寄稿)