両親が亡くなった。兄弟で相談したがみなそれぞれに家をもち、だれも家を継ぐ者がいない。
土地を売りに出すということが決まって、両親の住んでいた家を取り壊すことになった。
ローカルな路線を乗り継ぎ、それからタクシーに乗り、やっと実家についた。
久しぶりに兄弟がそろっている。みんなで家具などを処分するためだ。
おのおの汚れてもいい服装に着替え、役割分担をする。
掃除担当、家具担当、ごみ担当。
家具担当の光輝から声をかけられた。
「にぃちゃん、あの家具古いから解体したいと思うんだけど、てつだってくんない?」
光輝が指をさしている場所は古びた棚。ネジで固定しているようだ。
動かすとキシキシいうようになっている。
さっそくプラスドライバーで回してみるけど、か、かたい。
なんだこれ。長い間置いていたからなのか、うんともすんともいわない。
もう一回行くぞ、ドライバーを握り替え、深呼吸して
「うおおおおおお!」
あれ、なんか空回りしてる。回しても回してもネジに伝わっていないこの感じは。
もしかして。
おそるおそるドライバーを外してみると、
うおおおおおおおネジ穴がなめてるうううううううう。
なんだよこれ解体できないじゃん。どうすんのこれ。
テンパっているときに光輝がやってきた。
「にぃちゃんどうしたの、あ、ネジ穴なめてる」
うっ、ばれた。
「はい、にぃちゃんこれ使って。」
渡されたのは電動工具と黒い箱。黒い箱を開けると、ジョイントのようなものが4つあった。
てか、電動工具あるなら先に言えよな。無駄な労力使っちゃったじゃん。
このジョイントみたいなやつを電動工具にはめて使うのか。
ええと、まずは外したいネジやボルトより一回り小さいやつを選んで、電動工具に差し込むんだな。
そのままネジ・ボルトに下穴をあけるっと。
それからジョイントを反対側のものに付け替えて、食いつきを確認し、押しながらゆっくりと逆回転(左回転)させてネジを抜き取っていくと。。
お、取れた!
「できたじゃんにぃちゃん。」気づいたら光輝がのぞき込んでいた。
お前いいもんもってんな。
「これでいくらなめたネジ作っても大丈夫だよ♪」
もう作らねえっての。
これ俺の工具箱にも入れてえな。後で検索してみよっと。
工作便利グッズアドバイザー C様(寄稿)